大迫力の棧俵(サンバイシ)神楽が舞う!新潟市江南区「木津祭り」を取材★〔前編〕

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先週の土曜日に開催された「木津祭り」のメイン、「棧俵(サンバイシ)神楽」の舞いを木津地域にある加茂神社で取材してきました!
私は実際に拝見するのは初めてだったのですが、神楽としては大変珍しく、地元の方々も大勢集まった楽しいお祭りでしたよ♪
 
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写真左:通常の神楽で使用する獅子頭(新崎伊佐弥神楽)/写真右:棧俵(サンバイシ)神楽で使用する頭
 
そもそも新潟県の阿賀野川流域地域では、各地の神社などに奉納する神楽が川沿いの集落を中心に多く見られます。阿賀野川は水害が多いことから、こうした神楽は無病息災や五穀豊穣などを感謝・祈願する風習として広まり、お祭りの際の娯楽としても親しまれてきました。通常の神楽では上記の写真左のように「獅子頭」が用いられますが、棧俵(サンバイシ)神楽は上記の写真右のようにユニークな頭を毎年手づくしており、その点が大変珍しい神楽として注目されています。
 
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目はナス、鼻はカボチャ、髪の毛には熊稗(くまびえ)、口は桟俵(さんだわら)を2枚使い、歯は割った唐竹を組み合わせ、金紙を貼りつけて表現しています。桟俵(さんだわら)とは、米俵などの両端につける円形の藁蓋のことで、新潟の方言では「さんばいし」と呼ばれ、これが「棧俵(サンバイシ)神楽」の名前の由来になっています。
 

たび重なる水害に襲われていた木津地域

 
このように、棧俵(サンバイシ)神楽は昔ながらの農村で簡単に入手できる材料だけで手づくりされていますが、こうした珍しい神楽が誕生した背景には、かつてたび重なる水害に襲われていた木津地域の事情が関係しています。小阿賀野川に面する木津地域(とりわけ下木津地域)は昭和に入るまで頻繁に破堤する危険箇所として知られ、江戸の寛永期から数えて実に13回も破堤しています。
 
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木津切れ跡の石碑(木津の加茂神社近くにある小阿賀橋〔榎橋〕のたもと)と案内看板
 
そもそもこの地域に棧俵(さんばいし)神楽が登場したのが、明治30年頃と言われているそうです。その頃、木津地域の集落の中で、下木津にある加茂神社はよその神社のような立派な神楽を持てず、集落の若者たちは毎年の秋祭りが近づくと神社の氏子や村の役員などに神楽の購入をお願いしたそうですが、その願いはなかなか聞き入れられませんでした。そこで、当時の若者たちが祭りの晩に手づくりの神楽舞いを披露したそうで、これが今日の棧俵(さんばいし)神楽の原型と言われています。
 

ある秋祭りの晩にお宮に集まり、御神酒をいただいて元気を出した若者の1人がやおら立ち上がって、当時の農家であればどこでも見られた、古棧俵を2枚と鶏小屋から蚊帳を持ってきて、宵宮参りの大勢の氏子を前に威勢よく滑稽な舞をやってのけ、皆を爆笑させてということです。これは神楽を買って貰いたい若者たちの氏子役員に対するデモンストレーションだったのではないかとも聞いています。(棧俵神楽ホームページより引用)

 
船溜り付近 東本町2丁目~東船場2丁目付近(写真は語る亀田の百年)(web用) 大正2年の木津切れ直後の水留め工事(横越町史通史編)(web用)
写真左:木津切れ時の亀田町内の被害の様子・東本町2丁目~東船場2丁目付近(「写真は語る亀田の百年」P.88より引用)
/写真右:大正2年の木津切れ直後の水留め工事(「横越町史通史編」P.564より引用)
 
その後、大正2年8月末近くに発生した「木津切れ」は、水没地域が遠く亀田や沼垂まで達するほど広範囲に甚大な被害をもたらし、後に国営の阿賀野川大改修工事を敢行するきっかけとなった大災害でした。ちょうど稲の刈り入れや秋祭りを目前に控えた時期で、農作物は壊滅的な被害を受けた上に病気にかかる人も続出し、秋祭りは中止になってしまったそうです。
 
こうした苦境を受けて、村の若者たちも長年の夢だった神楽の購入をきっぱりあきらめ、これまで余興として続けていた手づくりの神楽を、加茂神社へ奉納する正式な神楽として位置づけ、今日まで集落の中で皆で楽しみながらも昔を忘れないよう大切に伝承されてきました。
 

この神楽は水害と闘う苦しい農民の生活の中から生まれた神楽なのです。お金さえ出せば手に入らないものは無いという現代社会に、お金が無くとも創意と工夫で出来る、楽しめるというこの棧俵神楽の由来を知り、物質文明、飽食時代といわれる現代に生きる私たちにとって何か考えさせられるものがあるのではないでしょうか。(棧俵神楽ホームページより引用)

 
当日の神楽の様子は〔後編〕にてレポートします♪ お楽しみに!!
 
◆さんばいし神楽ホームページ
http://sanbaishi.flips.jp/
 
◆新潟市江南区ホームページ:棧俵神楽
http://www.city.niigata.lg.jp/konan/about/saijiki/sanbaishi.html
 

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